演奏家として大切なこと

■音楽家として成立するために必要なスキル

 

1.インテンショナルタイム感がある(演奏者の5~10%の保有率)

 

これは演奏上の「インテンショナルな揺れ」つまり「意図的に拍の長さをずらす」能力のことです。アンサンブルが上手な人は実はタイムは均等ではありません。

 

たとえばジャストタイムで4拍子をやると概念的には「25+25+25+25」=100となりますが、これはドラムマシーンでもコンピューターでも可能なことで、ある意味で「直線番長」です。なのでタイムが直線な人は「フレーズ」をたくさん叩き込むことで目先を変えています。

 

ロマン派的なエモーションを創れる音楽家は「24+26+24+26」=レイドバックや「24+26+23+27」など4フィールを意図的にタイミングをずらして演奏します。これを拡大して4小節のタイム感、8,16小節あるいは曲全体もエモーショナルな揺れを創ります。つまり感情のゲシュタルトを形成できるプレイヤーが最上のフィールを持っているわけです。

 

これは一緒に演奏すればすぐにわかる能力で、音楽大学卒の演奏家が評価が高いのはクラシック音楽の中にあるロマン派的な「インテンショナルタイム」を経験しているからでしょう。本当に「音楽」が上手な人はクリックで練習する必要はありませんし、それをやって「拍が均等」になってしまうと「へたくそ」になります。

 

この「インテンショナルタイム」を創れる人は、経験からですがドラマーだと10%以下だと思います。YouTubeで見られるフレーズの機関銃タイプは、ほとんどのドラマーが「直線番長」かと思います。

 

音大の定期試験でもドラム科の連中は「直線番長」で、ボーカルやピアノの副科の人のほうが評価が高い場合があるという事実は、上記の要因があるからでしょう。

 

直掩番長はドラムは上手でも「生楽器のアンサンブル」つまり人と合わせるのが苦手だったり「歌伴ができない」ということにもなりかねませんし、揺れがあるスローバラードやオーケストラ演奏などにも適合できず、活動範囲が極端に狭いことがあります(ゴルファーで言えば「ドラコン」競技だけに出場するなど)

 

ちなみにジョン・ボーナムはこのインテンショナルタイムがある代表的なドラマーでしょう。ハードロックドラマーはけっこう高確率でこの能力があると思います。コージー・パウエルも目の前1メートル位で聴きましたが、インテンショナルタイムは最高でした。

 

2.グルーブがある(10~20%の保有率)

 

これは説明が難しいのですが、リズム感ではなく「グルーヴ感」つまりダンスなどの上下動からくるフィーリングがサイクルとなって乗ってくれば「止まらない」カッパえびせん状態と言えるかもしれません。ファンクやラテンが得意なドラマーやスイング系のドラマーも「グルーヴ」タイプですが、けっこうグルーヴするドラマーは多く、全体の20%くらいはグルーブの感覚があるかと思います(自分が叩いていて楽しい~でもインテンショナルなタイムは苦手?HHの左足カカトがいつも八分音符でグイグイ上下してしまう人はグルーブタイプ=常時タテ乗り)

 

こういったグルーヴ感があるドラマーは貴重なのですが、その能力だけでは仕事という点では恵まれません。自分もR&Bやファンクが大好きで、その類の音源やLPなどたくさん持っていますが、仕事で演奏したことはありませんし、そういったジャンルの演奏をショービジネスで要求されることはほとんどありません。逆に「グルーヴ感」が全くないドラマーやパーカッショニストでも演奏の現場では「初見能力」や「インテンショナルタイム感=合わせ上手」で立派に稼いでいる方々も多いです。

 

3.スティックを回さない(85%くらいは節度あると思うけど?)

 

これはけっこう大事なことなのですが、スティックを回してしまうと、音楽演奏でなく「見せる曲芸師」になってしまいます。せっかく素晴らしいインテンショナルタイムやグルーヴを持っていて、音楽的なプレイをしているのに「スティック回し」をやってしまったがために「カッコ良かった」と言われて、評価されるべきジャンルが違ってしまいます。

 

長い目でみると「直線番長+スティック回し」は音楽家として成立しません。これらはスティーヴ・ガッドが演奏中にスティックを回さないことからもわかるでしょう。常に音楽そのものから逸脱していませんし、自分に注目を集めるための余計な動作は控える、とご本人も言っています。イーストマン音楽大学でクラシックを学んでいるので、「インテンショナルタイム+各種グルーヴ感+感情のゲシュタルト形成」つまり誰もが認める最強のプロミュージシャンでしょう。

 

<ドラマー金言集>

せっかく良い演奏をしているなら「スティック回し」は蛇足。

Eastman School of Music

音楽をやると1年で「1」ずつ偏差値が下がります

別に嘘でもなんでもなく「下がり」ます。

 

例えば高校の偏差値が60だとすると、音大進学で4年間ずっと音楽漬けになるわけで、一般的な勉強はほとんど本気ではやりません。

 

そうすると偏差値は卒業時に55前後になります。

ですが、実際の計算としてはもっと下がっています。

 

偏差値が60だった高校といえばまずまずの進学校になるのでしょうか。そこから一般大学を受験せず音大希望となると、ある意味において普通の受験勉強はしていません。つまり高校2~3年から音楽の道になるわけですから、あと「2」を引いて、大学卒業時は「53」これでもまあ普通ですね。

 

これは自分の音楽生活や音大で教えていた経験から導きだした「数値」なのですが、それほど現実離れしているとは思いません。むしろ当たっているかと思います。

 

これは「劣化加速度」の話をしております。

 

自分も都立高校(偏差値63くらい)をほとんどドロップアウトして芸術系大学の音楽学部に5年間(日芸と東京芸大)在籍しましたが、卒業時(ツアーやレコーディング、レッスンで超多忙)に何かのきっかけで「池袋」と書こうとして、まったく書けなかったことがあります。

 

※電池の「池」と池袋の「池」が同じ字かどうかわからなくなり、なぜ「池」を「ち」と読むのか?わからない。完全に頭が崩壊していました。

 

よく「地頭」が良いといいますが、音楽に進む人は俗にいう「進学校くずれ」の方も多く、そういった人は音大キャリアを修了して、プロミュージシャンになると「地頭偏差値」は6程度下がります。

 

しかしここからが本題なんですが、実はもっともっと厳しくなります。

そこからプロミュージシャンになって7~8年経つと年齢は30歳。

つまり、この時点で偏差値は「マイナス13」・・・えっ!!

 

おどろきの事実ですが、自分の頭が「Windows11」だったのが「XP」に戻っちゃうくらいの感じでしょうか。

 

30歳のミュージシャンの偏差値は、偏差値60の高校出身者ですら「47」です。ましてや偏差値50の高校だったら・・・「37」です((+_+))

 これはいま流行りの「Fラン大学」を笑っている場合ではありません。Fランだって4年間は一応勉強するんですから。

 

こんな時間経過で30歳になれば、ある意味立派な「社会不適合&ツブシが利かない楽器が上手いオッサン、あるいはオバはん」が出来上がります。これはたいへん恐ろしい事実かと思います。

 

これで40や50歳になっても未だ練習ばかりしていたり、楽器ばかりいじっていたら?偏差値が「ゼロ」になるのでしょうか?それはそれで面白いかもしれませんが、これでは「音楽に翻弄されただけ」の人生になってしまいます。

 

音楽に翻弄されないために「勉強」は必要だと思います。

 

自分も40歳を過ぎて「これではダメになる」と気づきました。そこから一般大学の夜間学部にリカレントで入り直し、必死の思いで卒業しました。その際に高校から大学に入った普通の若者は勉強をしっかりやるんだな~そして何も勉強せずに音楽ばかりやる(ドラミング=無意識反射運動)と頭が悪くなるんだな、としみじみと思いました。

 

<ドラマー金言集>

音楽に人生を翻弄されないよう、

普通の人と同じくらい勉強しましょう!

 

ドラムは「おもいきり叩けば」同じ音がする!?

よく「シェルの材質がどうした」とか「ベアリングエッジは30度のほうが」とか「シンバルはビンテージのKジルジャンが最高」などとネットで語っている人がいますが、おそらく演奏経験が少ないかと想像されます。

 

ようするにドラムオタクで、音楽より楽器スペックの違いにハマってしまって抜け出せない状況かと。微妙なスペックの差異を見つけることに時間を費やしてしまうので、練習や仲間と演奏して音楽を楽しむ時間がありません。これは演奏家を目指すには困ったことではないでしょうか。

 

こういった物事の差異に敏感な人は、それらをネット等で煽る人がいるとすぐに信じて同調する「自己喪失傾向」にあり、クリティカルつまり批判的な判断ができなくなります。たとえ「それはこだわりすぎですよ」と諭しても聞く耳を持たないわけで、思い込みが強すぎると前に進めません。

 

 より音楽的なサウンドを追求することはありですが、どこで線を引くかが自分で決められないと、その微妙な差異に翻弄されることになります。どんな人でも世の中の楽器すべてをチェックできるはずはないからです。

 

前置きが長くなりました。

さて、ここからが本題です。

楽器選びよりも大切なこと、それはなんでしょうか?

実はドラム、打楽器全般には演奏上で独特の発音特性があります。

 

それはどういうことかというと「チップスピードが速ければ速いほど、サステインが短くなる」という現象です。

 

これはリズケンのレコーディングスタジオで、サンプリング音源の解析を依頼され、単音の波形を見ていたところ分かったことです。

 

強くたたく、というよりスティックの先端であるチップが速く動くという感じでしょうか。これは上手な人(プロドラマー)が叩くと「なんか音が締まっている」とか「切れ味が良い音」などの感想の要因です。

 

この現象を少し拡大解釈してみると、どんな高級ドラムを叩こうが、安い入門楽器を叩こうが、ストロークが完成されてチップスピードが速い人はほぼ「同じ音がする」ということになります。

 

打楽器類のクリーンヒットは空手家が「瓦」を素手で割ったり、割りばしの袋で「割りばし」を割ったり、居合抜刀術で藁束を切ったりする「術」に例えられるでしょう。

 

自分の恩師である「猪俣 猛」先生などはその典型で、なぜか自分の楽器だろうとレンタルのドラムだろうと同じサウンドに聴こえるのです。

よく弟子連中で?なんで??となっていたのを思い出します。

 

まさに「スパン!!」と鳴るわけで、どうしてそんな風に鳴るのか?質問してみたことがあります。先生は「ねじ込む感じ」と言っていました。

今考えると「回内」つまりプロネーションのことだとわかります。

 

もちろんフレージングが同じというのもありますが、打楽器の特性である「高速ヒッティングではディケイが短くなり、アタック成分が多くなる」という結果、楽器のシェル材やチューニングピッチに左右されなくなって、同じような切れ味の良いサウンドになる、ともいえるでしょう。

 

つまり屈託なくスティックを振り切れば、ビンテージKジルだろうがパイステ、ZENだろうが「シャーン!♪」と鳴るし、スネアーは「タンッ!!と気持ちよく答えてくれる、それがドラマーの矜持です。

 

このあたりはヤマハドラムの開発担当の方もよく言っていて、「ドラムはおもいっきり叩けばみんなおんなじなんだよ」というのは少し乱暴のようですが、ほぼ当たっていると思います。

 

いろいろと考えこまずにクリーンにヒットすることが、ドラム演奏の心意気ですし、切れ味の良いサウンドは湿気の多い日本では必須の条件です。

 

プロは「音飛び」が勝負とはよく言ったものです。

 

ヤマハの伝説の経営者である川上源一社長が「おずおずドラム」はダメだ!と目の前で語っていたのを思い出しました。

 

<ドラマー金言集>

楽器オタクになる前にチップスピードを上げよう!

 

意識高い人の寓話

骨董の世界でのお話。

 

収集家のオレは世の中に一つしかない「超レア」のものを、

その道の権威に鑑定してもらった。

 

「評価0円」だった(>_<)

 

愕然として、なぜなのか?と怒って質問すると……

 

「ひとつしか無いので世の人は知らないし欲しいと思わない」

だから評価ができないので0円ですね。

 

単なる趣味だったらこれでOK、つまり自己満足です。

プロの世界はまず評価があって、それに対してお金を払う人

が必要です。

 

「意識高い系」だと、他の人がやっていないことを探して、

目標にしがちですが、レアなものはマーケット(市場)がありません。

 

世の中に「商品やサービスが売れる仕組みをつくること」つまり

マーケティングするには10年単位の時間と組織化、そして膨大な

資金が必要となります。

 

その資金は1000万円以上のスタートアップが一般的です。

ラーメン屋の開業に必要な初期費用は、約1,500万円です。

 

手持ちのお小遣いで事業展開などできるはずもありません。

借入金のリスクを取らない経営はありません。

 

法人の資本金ですが、1円の資本金でも株式会社の設立が可能

となっていますが、それでは何もできないことは明白です。

※以前までは株式会社の場合1,000万円以上の資本金が必要でした。

 

自分の時間はまず「マーケット」がある分野に使いましょう。

そこからほんの少しオリジナリティーが加わった進化系が、

「クリエイト」する、つまり創造という意味です。

 

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「資本主義」はまず資本をどうするか。

 

もう一つは「資本主義」を理解することが必要です。

 

資金が無くても自分のアイディアを実現できるのが資本主義。

資金はエンジェルや銀行が提供します。

 

ですから自分の力だけでそれをやろうとするのは難しい。

そのために銀行があるのです。

 

例えば銀行から100万円を年利5%で借り、その資金で10万円の営業利益があれば、その事業は5万円の経営上の利益を生むことになります。

 

ですので、自分の資金で何かをやろう、あるいはまったく資金をかけずに利益を得ようとするのは資本主義のスキームに合致していません。

 

どんな場合でも、なにか事業をする(個人事業でも同様です)場合に、一番に必要なのが「資金繰り」。ようするに元手をどうするか?です。

 

借入金をせずにステップアップするのは、資本主義のシステムに矛盾しているわけで、0円スタートアップは無理筋でしょう。これはもちろん音楽家も事業主なので同じことです。

 

なにか閃いて、これはだれもやっていないことだからイケるはずだ!

「こんなステキなこと」をやっているのに、なんで生活できないの~?

 

それは魚のいない「昨日できた水たまり」で釣りをやるようなものです。

 

「開業資金」をどうするか? マーケットはあるのか?

事業計画は立てたのか? それを外部に評価してもらったか?

借金のリスクを恐れていないか?

 

その考えは「本業=演奏」ができていないことの裏返しではないのか?

あっちがダメならこっち、になっていないか?

 

自問自答が必要です。

 

まずはそこから問題解決をスタートしましょう。

 

<ドラマー金言集>

兎にも角にもまずは「資金調達=リスクを背負う」ことが必要 (^^)/

 

ドラミングの体重移動と2フィール

ドラムセットの演奏には「体重移動」が必要です。

どういうことか?

 

簡単にいえばベースドラムを踏むときは「前に移動」

ようするにカカトからつま先に体重が移動。

 

そして「ドン!」と鳴る。

当然ですが頭は前方に移動します。

 

カカトを戻して体を後ろにスウェイさせて

スネアーを「ダン!」と叩く。

ようするに椅子の背もたれに寄りかかる感じ。

 

この動きが体重移動です。

手漕ぎボートをこぐ動きがそのイメージ。

 

ドラム演奏の基本中の基本です。

これを「2Feel」ツーフィールと呼びます。

つまり「ドン+タン」の二拍子。

 

キックの踏み方にはもう少し説明が必要です。

これはヒールを着けた(ヒールダウン)奏法が

必須となります。

 

カカトからつま先に「舐めていく」ような動き。

これが大切です。

 

これはドラムセットでやる必要はありません。

足元の床と左手の「もも打ち」で練習できます。

 

これが分かるとキックペダルの動きの中に

「返し」のポイント、つまりカカトを戻すタイミング

が分かってきます。

 

上手くやると「1,3拍目の裏」にカカトが戻る。

 

こういった体重移動ができるドラマーはすべて

「ヒールダウン」が主体です。

 

ヒールを上げっぱなしのドラマーに体重移動は無く、

ようするに「2フィール」は表現できません。

 

2フィールの聞こえないドラマーは面白くありません。

メカニックフレーズの組み立てだけだからです。

 

単純タテノリの「1拍子」

左足カカトのアオリパルスが無いと不安になります。

 

そうなると「いっぱい」叩くしかしょうがありません。

YouTubeに「すごいドラマー」がいっぱいいますが、

みんな同じで「4拍子」が聴こえてきません。

 

俗にいう「直線番長」で歌の伴奏は残念ながらできません。

 

この2拍子が2サイクルあるのが「4拍子」で、ようするに

4拍子の2,4拍のバックビートは違う音、タイミングです。

 

本当に上手いドラマーは「4拍目」がすこし重い、または

すこし音が大きい(概念上)はずです。

 

この「2フィール」ができるドラマーは必然的に

体重移動のなかでフレーズを考えるので、手数が多く

なったり、早打ちの人はいません。

 

このことに気が付くとドラムの演奏方法が変わるので

ものすごく単純なビートを叩いても「乗って」演奏できます。

 

このあたりのお手本は?

スティーヴ・ガッドをみればよく分かるかと思います。

2フィールが聴こえるドラマーとしては世界一でしょう。

 

体重移動ドラミングは「トラディショナル・グリップ」

が基本となります。

 

なぜでしょうか?

皆さんで考えてませんか??

 

<ドラマー金言集>

2フィールの感覚は「成熟した大人」の世界...て感じかな?

 

ドラマーにレパートリーはありません

かなり前のことですが、ある女性が「Let it be」のジャケットを

見ながら私に質問をしてきました。

 

「ねえねえ~どの人がビートルズ?」

 

??・・・ある意味難しい質問です。

 

この方は音楽で食っている、れっきとしたミュージシャンなんですが、

音楽やその周辺を概念として捉えていないようです。

 

たとえば「バンド」という概念。

 

大学生や専門学校生で「先生、おれはバンドを3つやってるんすけど、

ちょっと多いですかね?」という質問も良くいただきます。

 

「バンドを3っつ.....??」

 

バンドに所属するという概念は「結婚」と同義語ですから、他のバンドにも所属するということは「多重婚」と同じです。

 

いろんなところに顔を出して、その場限りで演奏する(ギグワーク)

するのは 「セッション」ですから、そういった形態で音楽を仕事とするのは「セッションマン」です(自分もほとんどの状況はそのやり方)

 

ですから、バンドとして最高の業績があるビートルズは、バンドとしてレコーディングされたサウンドがオリジナルのマスターピースであって、その曲をどんなに他の上手なミュージシャンが演奏しても、オリジナルは超えられません。

 

バンドのオリジナルメンバーは会社で言う「正社員」です。

ですので簡単にはメンバーになれませんし、特定のバンドに所属したら、他のバンドメンバーになることは基本的にできません。

 

始めの逸話に戻りますが、「どの人がビートルズ?」というのはものすごいパラドックスな質問で、『Let it be』というアルバムがビートルズという固定メンバーの音楽組織が創り出した共同作品であるという、基本的な概念が欠落しています。

 

「アルバム」という概念も今日では失われている

 

後日また書きますが、日本の場合「音楽を演奏する」ということがレパートリーを演奏する、つまり曲をやることになっています。特にメジャー音楽教室において顕著でしょう。

 

その音楽がどういった概念(ロックやファンクなど)のカテゴリーなのか、あるいは特定のバンドサウンドや地域性を反映しているものなのか、まったく感じ取れずに、市販された譜面を演奏している(アドリブも書かれている)ことがほとんどです。

 

ですので、そういった音楽で大切な「気分、雰囲気、フィールや宗教性など」は排除されてしまい、音楽でなく「楽器音」になってしまいます。

 

メジャー音楽教室で「POP、Funky、Rock'n Rool」はすべて譜面に印刷されたとたんに失われ、「Sex 、Drug、R&R」などに代表されるダーティーな不良感覚は教育範囲では排除されてしまいます。

 

ドラムの話になりますが、ドラム教室のように曲を練習してレパートリーを増やしてもプロミュージシャンにはなれません。その理由は簡単で、「その曲しかできない」からです。

 

ドラム演奏は「抽象表現」ですから、先ほど説明した「音楽的なリズム概念」を演奏しています。つまりロックフィールやファンク、スイング、ラテンなどです。これらは「曲名」ではありません。

 

 

麻雀をやる人なら分かるかと思いますが「役」というのは概念です。

「三色」や「清一色」はいろいろな形があるわけで、麻雀の解説本に書かれているサンプルの通りに牌を集める必要は無いのです。

 

凄いことなのですが、そういった概念を演奏できれば「曲」を練習する必要が無くなります。自分もそうなのですが概念を演奏できるように「練習」するのがドラマーの究極の目標で、そうなったら世界中のあらゆる曲は簡単にプレイできます。

 

パターン化はポップへの入り口

 

そういった概念を集約したものが「ドラムパターン」で、文字通りリズムやビートの概念を「パターン化」したものです。

 

ドラム教室では「パターン」を教えますが、まずは汎用パターンの「8ビート」などがレッスンのスタートでしょう。でもこれは汎用パターンなので「ロック」そのものではありません。

 

例えば「家でカレー作るね~」なんか誘われて行ってみたら「ジャワカレー」。板のインスタントカレーを折ってブチこんでいても、文句を言うひとはいないでしょう。これがポップスというものです。

 

でもなんでも8ビートで処理するのは限界があります。そこで次のレベルで求められるのが概念やグルーブということになります。

 

なぜならこういったポップ処理=パターン化はコンピューターやドラムマシーンで簡単にできてしまうので、音楽がそこまでならばドラマーは不要になってしまいます。

 

良いドラマーはパターンを演奏しているふりをしながら「ビート、リズム、ジャンルとしての音楽フィール」を即興的に織り交ぜていきます。

 

こういったやりかたは、将来はAIでも可能かもしれませんが、まだまだプロドラマーの仕事としては大丈夫でしょう。

 

話しがいろいろと飛びましたが、ようるすに概念(フィールやグルーヴ)を感じさせる演奏ができることが、職業演奏家のスタートになるかと思います。

 

<ドラマー金言集>

フィーリングが無いということは「香りの無いコーヒー」と同じ。

 

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力を抜く?...そんなことはできません

■ストロークの矛盾した指示「あるある」

 

 

「力を抜けばスピードがでる」...えっ?

 

 

昭和の時代にあった「力を抜いて」という不思議なアドバイス。

 

スポーツの指導者では今時そんな言葉を使う指導者はいないでしょう。

モダンセオリーに基づいてアカデミー化されたスポーツ分野では「力を抜け」などの指示はありません。

 

自分もゴルフとテニスのスクールで長年プロの指導を受けてきましたが、こういった指示は聞いたことがありません。

 

その理由は簡単で「力=ちから」という抽象的な日本語は定義が全く曖昧で、それに加えて「抜く」というのもどのような状態なのか?まったく意味が分からないからです。

 

昭和パワハラ時代でしたら先生やコーチがそんな発言をしても、もっともらしく聞こえるので「ハイッ!わかりました~」と力を抜いて…って??その気になったかもしれませんが・・実はさっぱりわかりませんよね。

 

「日本人はみんな親切です~」

「とにかく頑張りましょう!」

「愛のある音を出しましょう!」

などの説明や指示と変わりません。

 

今時のインストラクターが、その魔法のような言葉を発したら、こう質問してみましょう。

 

「先生、ちからってなんですか?」

「抜くってなんですか?抜くって意識したらちからがはいりませんか?」

「ちからが抜けてるってことは、もう死んでるんじゃないですか?w」

「音楽やるのにハイスピードって必要なんですか?」

「料理教室で包丁でにんじんをすごいスピードで剥け~なんて言いませんよね....美味しい料理には関係ないんじゃないですか?」

 

「愛のある音??」

※そういった教祖さまのような発言をしてはいけませんね。

 

■音楽をするためにドラムを練習しましょう!

 

基本:欧米ではレッスンの時にクリックは使いません。

 

クリックを鳴らしながらパッド上で片手の三連符...「力をぬけばぬくほど」音楽からどんどん遠ざかってしまいます。ピアノの鍵盤を片手で連打しても「音楽としてのピアノ演奏」が上手くなることは絶対にありません。ドラム演奏は「音楽」であって筋トレではないのです。

 

「リラックスして!」も同じようなものでしょう。

 

ドラムセットは...楽器です。

「叩かないと鳴らないが、本当に叩いたら音楽になりません」

英語ではHit the drums ではなくplay the drums です。

つまり正確な訳は「ドラムを叩く」ではなく「ドラムを演奏する」

または「ドラムを弾く(ひく)」となります。

 

演奏に何が必要なのか?不足している技術は音楽のアンサンブルから認識していくものでしょう。料理はまず作ってみることが大切です。

 

楽器はその「楽器」で練習する、演奏することがまず本道で、他の補助的な用具を使う場合はあくまでも「ドリル」としての用法と割り切るべきです。

 

音楽大学や専門学校でも入学した学生が自宅練習で電子ドラムを使ってきた場合はすぐに分かります。(微妙なタッチが無く「叩いて」いるだけ)

 

「パッドを叩く」のは基礎練習の際に必要かと思います。でもある程度のことができればいいのであってMAXスピードは不要です。あまけにドラムセットは手足の組み合わせが楽器の主たるスキルつまり4way independenceですので、手だけ練習してもあまり意味はありません。

 

<ドラマー金言集>

ドラムパッドで練習すると「ドラムパッド」が上手になります。

 

更新履歴+つぶやき

<2024年  謹賀新年>

本年もどうぞよろしくお願いいたします。

年賀状のやり取りは一昨年より取りやめとしております。

返信はしておりませんので、なにぞとご理解のほどお願いいたしますm(__)m

ドラムが上手くなる「秘密のメモ帳」更新しています!

先日67歳になりました。

息子の大学の学園祭に一人で行ったのですが、あまりの人込みでついていけません。

チア(BIG BEARS)の舞を見て元気を頂きました(^_-)-☆

夏が暑すぎるので、なるべく外出は避けています。

ある自動車販売の会社が主催した写真コンテストにスマホで撮って応募したところ、特選をいただきました(^_-)-☆

副賞賞金は2万円!ウナギでも食べようかな~。2023/08/25

ドラムが上手くなる「秘密のメモ帳」更新しています!

🌸新年度になりました。

ようやくコロナ禍から抜け出して、子供も春から大学生。ちゃんと所沢まで通えるのか?1限早起き頑張れ!!

<2023年  謹賀新年>

本年もどうぞよろしくお願いいたします。

諸事情ありまして年賀状のやり取りは昨年より取りやめとしております。

返信はしておりませんので、なにぞとご理解のほどお願いいたしますm(__)m

※年賀状はご遠慮させていただいております。

 

昨年よりKM法人、個人を含めての年賀状によるご挨拶を

控えさせていただいております。江尻個人、母(介護施設入居中~おかげさまで元気にしております)への年賀状によるお心遣いはなにとぞご無用にてお願いいたします。

どうかご理解のほどよろしくお願い申し上げます。

<施設入所のお知らせ>

母、江尻和子は令和4年4月より足立区内の民間老人介護施設に入所いたしました。コロナ禍でなかなか面会できませんが、フルタイム介護にて元気に過ごしております。

お手紙、年賀等いただいても返信が難しいため、ご辞退申しあげますこと、何卒ご了解いただきたく、ここにお願い申し上げます。

山の中でドラムセット練習。

サイレント系のシンバルとミュートタム+プロロジックのパッド。べードラはそのまま。このほうがボトムが聴こえてビートが分かりやすいんで、キックだけは普通に鳴ってますww

<2022 謹賀新年>

継続してコロナに備えよ~って、つまんない曲をダカーポして延々と演奏している感じですね。本年もどうぞよろしくお願いいたします。

 

「血が出るなら、殺せるはずだ」if it bleeds, we can kill it.....プレデターより

<皆様にお知らせ>

年末から介護関係でのバタバタ、それに加えてプリンターの不調でどうにもならず、年賀状が返信できていません。

毎年頂いている方々には大変申し訳ありませんが、これを機会に今後の年賀状やりとりは遠慮させていただきたく存じます(虚礼廃止の流れ)

誠に勝手ながらご理解のほど宜しくお願い致します。

<2021年 謹賀新年>

 2020年は「禍=まがこと」の一年」でしたが、今年はそれらが祓われていきますよう、心より祈念いたします。

30歳の会社設立から34年。50歳からのシェルター建設から14年です。

いろいろなプロジェクトを手がけてきましたがあっという間ですね。

 

還暦からすでに5年が過ぎようとしています。

体力的にはまだまだ行けると思いますが、八方美人ではまとまりません。

人生100年時代と言われていますし、今後のライフシフトは必然でしょう。

 

生活のリストラ(酒、タバコは止めました)をすることで、65歳以降の自分の時間を確保し、もうすこし形のあるものを残せるように、日々努力していきたいと思っています。2020/師走