ドラムセットの演奏には「体重移動」が必要です。
どういうことか?
簡単にいえばベースドラムを踏むときは「前に移動」
ようするにカカトからつま先に体重が移動。
そして「ドン!」と鳴る。
当然ですが頭は前方に移動します。
カカトを戻して体を後ろにスウェイさせて
スネアーを「ダン!」と叩く。
ようするに椅子の背もたれに寄りかかる感じ。
この動きが体重移動です。
手漕ぎボートをこぐ動きがそのイメージ。
ドラム演奏の基本中の基本です。
これを「2Feel」ツーフィールと呼びます。
つまり「ドン+タン」の二拍子。
キックの踏み方にはもう少し説明が必要です。
これはヒールを着けた(ヒールダウン)奏法が
必須となります。
カカトからつま先に「舐めていく」ような動き。
これが大切です。
これはドラムセットでやる必要はありません。
足元の床と左手の「もも打ち」で練習できます。
これが分かるとキックペダルの動きの中に
「返し」のポイント、つまりカカトを戻すタイミング
が分かってきます。
上手くやると「1,3拍目の裏」にカカトが戻る。
こういった体重移動ができるドラマーはすべて
「ヒールダウン」が主体です。
ヒールを上げっぱなしのドラマーに体重移動は無く、
ようするに「2フィール」は表現できません。
2フィールの聞こえないドラマーは面白くありません。
メカニックフレーズの組み立てだけだからです。
単純タテノリの「1拍子」
左足カカトのアオリパルスが無いと不安になります。
そうなると「いっぱい」叩くしかしょうがありません。
YouTubeに「すごいドラマー」がいっぱいいますが、
みんな同じで「4拍子」が聴こえてきません。
この2拍子が2サイクルあるのが「4拍子」で、ようするに
4拍子の2,4拍のバックビートは違う音、タイミングです。
本当に上手いドラマーは「4拍目」がすこし重い、または
すこし音が大きい(概念上)はずです。
この「2フィール」ができるドラマーは必然的に
体重移動のなかでフレーズを考えるので、手数が多く
なったり、早打ちの人はいません。
このことに気が付くとドラムの演奏方法が変わるので
ものすごく単純なビートを叩いても「乗って」演奏できます。
このあたりのお手本は?
スティーヴ・ガッドをみればよく分かるかと思います。
2フィールが聴こえるドラマーとしては世界一でしょう。
体重移動ドラミングは「トラディショナル・グリップ」
が基本となります。
なぜでしょうか?
皆さんで考えてませんか??
<ドラマー金言集>
2フィールの感覚は「成熟した大人」の世界...て感じかな?
かなり前のことですが、ある女性が「Let it be」のジャケットを
見ながら私に質問をしてきました。
「ねえねえ~どの人がビートルズ?」
??・・・ある意味難しい質問です。
この方は音楽で食っている、れっきとしたミュージシャンなんですが、
音楽やその周辺を概念として捉えていないようです。
たとえば「バンド」という概念。
大学生や専門学校生で「先生、おれはバンドを3つやってるんすけど、
ちょっと多いですかね?」という質問も良くいただきます。
「バンドを3っつ.....??」
バンドに所属するという概念は「結婚」と同義語ですから、他のバンドにも所属するということは「多重婚」と同じです。
いろんなところに顔を出して、その場限りで演奏する(ギグワーク)
するのは 「セッション」ですから、そういった形態で音楽を仕事とするのは「セッションマン」です(自分もほとんどの状況はそのやり方)
ですから、バンドとして最高の業績があるビートルズは、バンドとしてレコーディングされたサウンドがオリジナルのマスターピースであって、その曲をどんなに他の上手なミュージシャンが演奏しても、オリジナルは超えられません。
バンドのオリジナルメンバーは会社で言う「正社員」です。
ですので簡単にはメンバーになれませんし、特定のバンドに所属したら、他のバンドメンバーになることは基本的にできません。
始めの逸話に戻りますが、「どの人がビートルズ?」というのはものすごいパラドックスな質問で、『Let it be』というアルバムがビートルズという固定メンバーの音楽組織が創り出した共同作品であるという、基本的な概念が欠落しています。
「アルバム」という概念も今日では失われている
後日また書きますが、日本の場合「音楽を演奏する」ということがレパートリーを演奏する、つまり曲をやることになっています。特にメジャー音楽教室において顕著でしょう。
その音楽がどういった概念(ロックやファンクなど)のカテゴリーなのか、あるいは特定のバンドサウンドや地域性を反映しているものなのか、まったく感じ取れずに、市販された譜面を演奏している(アドリブも書かれている)ことがほとんどです。
ですので、そういった音楽で大切な「気分、雰囲気、フィールや宗教性など」は排除されてしまい、音楽でなく「楽器音」になってしまいます。
メジャー音楽教室で「POP、Funky、Rock'n Rool」はすべて譜面に印刷されたとたんに失われ、「Sex 、Drug、R&R」などに代表されるダーティーな不良感覚は教育範囲では排除されてしまいます。
ドラムの話になりますが、ドラム教室のように曲を練習してレパートリーを増やしてもプロミュージシャンにはなれません。その理由は簡単で、「その曲しかできない」からです。
ドラム演奏は「抽象表現」ですから、先ほど説明した「音楽的なリズム概念」を演奏しています。つまりロックフィールやファンク、スイング、ラテンなどです。これらは「曲名」ではありません。
麻雀をやる人なら分かるかと思いますが「役」というのは概念です。
「三色」や「清一色」はいろいろな形があるわけで、麻雀の解説本に書かれているサンプルの通りに牌を集める必要は無いのです。
凄いことなのですが、そういった概念を演奏できれば「曲」を練習する必要が無くなります。自分もそうなのですが概念を演奏できるように「練習」するのがドラマーの究極の目標で、そうなったら世界中のあらゆる曲は簡単にプレイできます。
パターン化はポップへの入り口
そういった概念を集約したものが「ドラムパターン」で、文字通りリズムやビートの概念を「パターン化」したものです。
ドラム教室では「パターン」を教えますが、まずは汎用パターンの「8ビート」などがレッスンのスタートでしょう。でもこれは汎用パターンなので「ロック」そのものではありません。
例えば「家でカレー作るね~」なんか誘われて行ってみたら「ジャワカレー」。板のインスタントカレーを折ってブチこんでいても、文句を言うひとはいないでしょう。これがポップスというものです。
でもなんでも8ビートで処理するのは限界があります。そこで次のレベルで求められるのが概念やグルーブということになります。
なぜならこういったポップ処理=パターン化はコンピューターやドラムマシーンで簡単にできてしまうので、音楽がそこまでならばドラマーは不要になってしまいます。
良いドラマーはパターンを演奏しているふりをしながら「ビート、リズム、ジャンルとしての音楽フィール」を即興的に織り交ぜていきます。
こういったやりかたは、将来はAIでも可能かもしれませんが、まだまだプロドラマーの仕事としては大丈夫でしょう。
話しがいろいろと飛びましたが、ようるすに概念(フィールやグルーヴ)を感じさせる演奏ができることが、職業演奏家のスタートになるかと思います。
<ドラマー金言集>
フィーリングが無いということは「香りの無いコーヒー」と同じ。
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■ストロークの矛盾した指示「あるある」
「力を抜けばスピードがでる」...えっ?
昭和の時代にあった「力を抜いて」という不思議なアドバイス。
スポーツの指導者では今時そんな言葉を使う指導者はいないでしょう。
モダンセオリーに基づいてアカデミー化されたスポーツ分野では「力を抜け」などの指示はありません。
自分もゴルフとテニスのスクールで長年プロの指導を受けてきましたが、こういった指示は聞いたことがありません。
その理由は簡単で「力=ちから」という抽象的な日本語は定義が全く曖昧で、それに加えて「抜く」というのもどのような状態なのか?まったく意味が分からないからです。
昭和パワハラ時代でしたら先生やコーチがそんな発言をしても、もっともらしく聞こえるので「ハイッ!わかりました~」と力を抜いて…って??その気になったかもしれませんが・・実はさっぱりわかりませんよね。
「日本人はみんな親切です~」
「とにかく頑張りましょう!」
「愛のある音を出しましょう!」
などの説明や指示と変わりません。
今時のインストラクターが、その魔法のような言葉を発したら、こう質問してみましょう。
「先生、ちからってなんですか?」
「抜くってなんですか?抜くって意識したらちからがはいりませんか?」
「ちからが抜けてるってことは、もう死んでるんじゃないですか?w」
「音楽やるのにハイスピードって必要なんですか?」
「料理教室で包丁でにんじんをすごいスピードで剥け~なんて言いませんよね....美味しい料理には関係ないんじゃないですか?」
「愛のある音??」
※そういった教祖さまのような発言をしてはいけませんね。
■音楽をするためにドラムを練習しましょう!
基本:欧米ではレッスンの時にクリックは使いません。
クリックを鳴らしながらパッド上で片手の三連符...「力をぬけばぬくほど」音楽からどんどん遠ざかってしまいます。ピアノの鍵盤を片手で連打しても「音楽としてのピアノ演奏」が上手くなることは絶対にありません。ドラム演奏は「音楽」であって筋トレではないのです。
「リラックスして!」も同じようなものでしょう。
ドラムセットは...楽器です。
「叩かないと鳴らないが、本当に叩いたら音楽になりません」
英語ではHit the drums ではなくplay the drums です。
つまり正確な訳は「ドラムを叩く」ではなく「ドラムを演奏する」
または「ドラムを弾く(ひく)」となります。
演奏に何が必要なのか?不足している技術は音楽のアンサンブルから認識していくものでしょう。料理はまず作ってみることが大切です。
楽器はその「楽器」で練習する、演奏することがまず本道で、他の補助的な用具を使う場合はあくまでも「ドリル」としての用法と割り切るべきです。
音楽大学や専門学校でも入学した学生が自宅練習で電子ドラムを使ってきた場合はすぐに分かります。(微妙なタッチが無く「叩いて」いるだけ)
「パッドを叩く」のは基礎練習の際に必要かと思います。でもある程度のことができればいいのであってMAXスピードは不要です。あまけにドラムセットは手足の組み合わせが楽器の主たるスキルつまり4way independenceですので、手だけ練習してもあまり意味はありません。
<ドラマー金言集>
ドラムパッドで練習すると「ドラムパッド」が上手になります。