■アンサンブルは聴いてから弾いても間に合わない
子供の頃に「よく噛んで食べなさい」とか「よく人の話を聞きなさい」
などと言われてきた方も多いでしょう。
それはそれで間違ってはいませんが、吹奏楽などでアンサンブルをする時に言われている「よく聴いて合わせましょう」というアドバイスは問題があると思います。
この言葉を信じて演奏すると、必ず「遅れ」ます。
俗に言うアンサンブルの「食いつき」が悪くなります。
相手が出したものをよく見て「じゃんけん」をしましょう、と言ったら
後だしじゃんけんになってしまうのは明らかでしょう。
アンサンブルは「相手の弾いた音」に合わせるのではなく、自分の内部にあるイメージした音を自分のタイミングで相手にぶつけていく作業です。
ですので、各プレイヤーの音はその中心にある「空間」で合奏が成立するわけで、相手の音を聴いて自分の音を出したら、その「センター空間」では合いません。
これが演奏上の「タイム感」というものであって、良いプレイヤーは自分の中にある音を、他の人より少し「前」に発音しています。
だから「真ん中」で合うわけで、聴いてから合わせてしまうと、次のような発音順になってしまいます。
「相手の出した音が自分の耳に聴こえる~それから脳で処理~そして手や腕を動かして楽器に伝える~楽器が鳴る~相手に届く」
これでは時間差が大になり、アンサンブルが成立しません。
クラシックの場合、指揮者を見るというのはそのタイム差を縮める役割があるかと思います。聴いているタイム差より、見る(光速)のほうが速いからでしょう。
クラシックの演奏の場合はホールなどの響きがあるので、ある程度は「聴いて合わせる」ということも許容範囲ですが、ポップスなどは音飛びが速く、楽器音も強く堅いため、タイム差がほぼありません。
演奏者間の距離も近くある意味で「室内楽」的なバンド演奏は小人数でじゃんけんをする時のような勢いがありますが、クラシックや合唱など人数が多い時は、あたりを見てからそっと出る、というような「正解ひとつの日本人」の特性が見られます。
つまり前述のように(日本の場合に限ってですが)「よく○○しなさい」
という指示に忠実になり過ぎるため「みんなに合わせよう」とか「飛び出さないようにしよう」という気持ちが強く影響して、音出しの自己主張が弱く、タイム感も俗にいう「置きにいく」ようなオズオズとしたアンサンブルが多いような気がします。
諸外国の場合は「先頭競争」で、日本では「後方支援」がそのイメージでしょう。これに加えてエモーションが不足し、表情が硬いプロオケなどは「聴いててつまらない」というのは無理もないかもしれません。
「見切りが早い」人に進歩はありません。
「見切りが早い」つまり目標があってスタートしても、ちょっと上手くいかないとすぐに違うことに手を出す人がいます。そしてまた「これも違う」となり、どんどん迷走します。
ビジネス書に「見切りが早い人は優秀な人」などと書いてありますが、まったくの嘘ですね。ものすごく頭の良い方はそう見えるだけでしょう。
特に東京などの「都市生活」では様々な生活の入り口があるため、目標を変えることが容易で、それによって自己意思が優柔不断になる。
小学生でもわかることですが、目標とする入り口を変えてしまえば、また「ゼロ」からの再スタートになってしまいます。
「石の上にも三年」ということわざがあります。これは「何を目指しても三年マジにやれば同じ結論を得る」という意味です。つまり「椅子の上にも三年」「馬の上にも三年」でもOKでしょう。
つまりそれが自分に合っていようがいまいが、下手だろうが、それに徹して三年たてば「世の中(個人事業やビジネスの仕組み)が分かる」それが重要だ。そこまでは方針を変えるな、という警告です。
ですから自分が取り組むことは実は何でも良いのです。
そうやって身についたビジネスの考え方やスキルは、他のことをやっても
同じように応用が利くわけで、そこまでは動いてはいけません。
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■「音楽をする」ということは「コスパ」ではない。
東京(都市部)で育った人は、そういった混沌を生まれた時から経験しているので、周りが持ちかける俗にいう「美味しい話」や「こっちのほうが得する」などに振り回されることはほぼありません。
そしてお金がもらえるアルバイトを「三年」しても「ビジネス」は解りません。それは自分で考えて行動してお金を稼いでいるわけではないからです。
つまり「世の中が分かる」には今も昔も変わらず「3年」かかるということ。簡単に成果がでることは「簡単に失う」につながります。形而上的な物である「音楽をする」ということは「コスパ」とは関係がないのです。
「見切りが早い」人は「これがダメならアレだ!」ということになり、
結局は転身が早いことでどんどん「自分がわからなく」なります。
それらは「儲かるかそうでないか」という非常にプラクティカルな価値観でしかありません。
じつは「隣の芝生は青い」ではなく
「隣の芝生も自分の芝生も青い」のです。
「事業経営=ビジネス」を学ぶには最低「3年」はかかります。
一つの場所から動かずに、音楽を通じて生きていくための基本を学んでください。
1.ギャラとは?
ギャラとは「ギャランティー」のこと。英語ではGuarantee(保証する)の意で、演奏料(ギャラ)として事前に支払うべき金額を取り決めて、その支払いを発注者が保証すること。出演料というグロス定義は「演奏料+諸経費」と考えるとわかりやすい。
2.契約としてのギャランティー
口約束も法的には有効。しかし近年では著作権などの権利関係が複雑になってきた為に契約書や覚書を作成することが一般化している。
3.ギャランティーと必要経費は別に請求。
プロフェッショナルな演奏業務に関わる場合には、演奏料という直接の演奏に対する対価と、それに伴う諸経費(諸経費)が発生する。経費を含めてギャラを設定する場合を「グロスギャラ=全部コミ」という。諸経費の見積りが甘いと「ギャラより高い交通費~♪(鯉のぼりの替え歌」となりかねない。
■諸経費 : ギャラ無しの場合でも請求が基本=友情出演、賛助出演等)
①交通費(電車賃、駐車場代、ガソリン代、高速代等)
②楽器持込料(レンタル会社が用意する場合は発生しない=近年はその傾向が強い)
(ドラムレンタル料、運送経費・トランポ料=宅急便等)
③アシスタント経費 ④食事代 ⑤宿泊代 ⑥行動費(ツアー先のスケジュール穴埋め)
⑦その他(駐車場料金など)
■演奏料(音楽家として当然請求すべきもの)
①リハーサル、GP料
②本番演奏料(ランクあり)
③その他のフィー(ビデオ撮影、ライブレコーディングなど)
※ 重要事項 : 業界慣習として大型楽器(ドラムセット、ティンパニー、マリンバ、シロフォン、グロッケン、グランカッサ、ベースドラム、ゴング等)は持ち込み料が発生する。
サービスとして無料で持ち込むと「ドラマー、パーカッショニストはなんでもタダで持ってくるようだ」ということになり、業界慣習を損ねる可能性がある。あとに続く後輩たちの生活を守る意味でも、安易なダンピング(安売り)をせず、諸経費はしっかりと請求することが重要となる。、プロフェッショナルとして毅然とした態度で仕事に向かって欲しい。
4.入金までの流れとフロー(演奏すること=本番が終わることだけでは仕事の半分しかしていない)
①演奏の受注(仮押さえスケジュール打診→スケジュールFIX、楽器持込あり・なし)
②見積書作成、送付 → 支払い条件(演奏料、その他の諸経費)の確認
③前日までの作業(個人練習、楽器持込確認、楽器セレクション、アシスタント確認&積み込み)
④リハーサル(楽器セッティングFIXへ)
⑤ゲネプロ(GP=通し稽古)
⑥本番(楽器運搬持込、セッティング、演奏、楽器撤去引き上げ)
⑦打ち上げ(個人の支払=持ち出し?)
⑧諸経費の計算 → 請求書作成(演奏料+楽器レンタル、運送諸経費の区分を明記)送付
⑨入金確認(クライアントの「締め」との関係)
⑩支払調書受領確認(源泉票、次年度初頭に送付される)
⑪確定申告(次年度の3/15までに申告)
自営業とは「不動産としての営業店舗や従業員がいる事業主」
フリーランスは「自分の頭と体だけで勝負する個人事業主」
1.フリーランスの危うさとは?
2.非常勤の定義は「アルバイト」
■「本務、主たる事業所、非常勤」とは?
「主たる事業所」とは人が「十分に生活するためのお金を稼ぐ」特定の場所や会社。たとえるならば食事でいう「主食のコメ」を収穫する田んぼのような場所。「うちの会社」とよばれる利益法人を「主たる事業所」としている人が一般的。他は主ではないので「副業」や「非常勤」とよばれる。
個人事業主でも主に稼いでいる場所や、下請けとして仕事を請け負っている会社があるはずで「まとまった主たる発注先」がないと生活できない。
この「主たる事業所」で働く業態(業務形態)は世の中で「職業」や「所属」と呼ばれており、ある程度の年齢までにこれを決めていくことになる。一般にいわれる「就職」「就業」という概念がそれ。
その「主たる事業所」からもらうお金が「主たる給与」と呼ばれる税務用語(重要概念)この概念が頭にないと「いろんなことちょっとずつやって生活するんだ」と勘違いする人が出てきます。「お仕事のつまみ食い」は長くは続けられませんし、主たる給与がもらえる場所が無いと「厚生年金保険」には加入できません。これは晩年になって影響大となります。
「非常勤」とは「主たる事業所に勤務」とは逆の概念で、副業やアルバイトのこと。つまり「常時勤務」ではなく「非常勤○○」だけであれば、職業の主たる事業所がないわけで、ようするに端的にいえば「無職」という状態。だから雇用側は非常勤に所属の証である法人名刺は出さないはず。
これに気が付かないと所属不詳のまま時間が過ぎ、知らずのうちに年月が経過して取り戻せない。この「居心地の良いポジション」と「中途半端な稼ぎ」があることが一番の「ぬるま湯」状態とも言えるでしょう。
実は大学では文部科学省から非常勤講師に対して年に一回「本務(校)調査」というものがあり、「記入欄」に主たる事業所である所属先(○○大学とか株式会社○○など)と「役職名」を書かされます。これにより文部科学省が非常勤の就労形態を「正規の職業」とみなしていないことが分かります。この欄が埋められない、フリーター的な非常勤(アルバイト)講師はたくさんいますし、そこが悩みの種ということになります。
つまり本来の「非常勤講師」は他の大学の専任教員(教授など)がアルバイトや気晴らし?で他の大学で非常勤を兼務したり、定年となった会社役員などが年金が減額されない範疇でやるものでしょう、と文科省は考えているのです。だから社会保険に入らせないために、講義の稼働は週に1日か多くても2日までに制限されています(社会保険の4分の3ルール)
自己のプロフールや「あなたの職業は?」と聞かれて「大学(または専門学校)の非常勤講師です」などと書いたり答えたりしますが、上記の状態ですと極端にいえば職業としての「本務」がないわけで、世間的カテゴリーとしては「無職アルバイト」とされてしまいます。
見栄っ張りで意識の高い人はこういった現実を全く受け入れず、プライドが満たされていればOKとなって、どんどん時間が過ぎてしまいます。人生は思ったより短く、肩書としてのプライドよりも時間のほうが大切な場合があることを知って欲しいと思います。
<国税庁による事業認定の「売上要件」とは>
国税庁の通達によれば、雑所得でなく事業所得とするには継続性など様々な条件があり「収入(売り上げ)金額が300万円を超えていないと事業ではない」という通達と法改正が令和4年にあり、それらの数値が「主たる事業」であるかどうかの判断基準となります。
※この話は家に巨額の資産があればもちろん問題はありません。音楽をやっている方は実家が資産家(太い)方も多いからです。
<フリーランスのためのキーワード>
非常勤という言葉に注意しましょう。言葉の本来の意味は「アルバイト」